「4Kはフルハイビジョンの4倍の高精細映像」
4Kテレビや4K放送を普及させるために謳われてきた文句。
これは幻想であったことが少しずつ分かってきた。
4K放送や4K-UHDソフトに実際に触れることが増えてきたのに、どう好意的に見てもそれだけの圧倒的な差が見いだせない。
正直、4Kテレビにはフルハイビジョンテレビの倍の力量すら無いと思う。
「ネイティブ4Kの4K-UHDソフト」や、「ネットの4Kや8K映像」を「高品位なフルハイビジョンテレビ」で観ると、4Kテレビで見るデモ映像レベルのものが観れるからだ。
私が普段視聴している2Kテレビの、この「凄みさえ感じる」映像の、倍の能力などとは考えられない。
実際、手持ちの4K-UHDソフトでネイティブ4Kと言えるものでも、倍でしかなく、4倍と感じた事など一度も無い。
ネットの8K映像でさえ、2Kテレビの4倍にすら感じられないのだ。
それほどに2Kフルハイビジョンテレビの本来の実力は高い。
4Kはスペック上では2Kの4倍の表示ドット ( =映像を映し出す最小の点 ) 数がある。
2Kフルハイビジョンが1920✕1080ドットで、4Kが3840✕2160ドットの表示素子数。
表示されるドットの数の上からすると確かに2Kの4倍だ。
単純に1つのドットが4つになるわけだが、考えてみると、1つが4つに増えても、縦方向には2つ、横方向にも2つ、斜め方向にも2つ、したがってどの方向にも倍にしかなっていないのだから、感覚的に倍にしか感じないのは当然なのかもしれない。
図で説明するとこうだ。
1つが4つに増えて ( 細かくなって ) いるけど、こうなっているわけ。
どの方向にも2倍なのだ。
横方向1920が3840に、縦方向1080が2160になっているだけだから、表示素子数を見ても2倍になっただけというのが分かるだろう。
実際には4倍になっているのにそう見えない理由として、人の知覚は、1つが4つに増えたとしても4倍と認識出来ないのではないか ?
そう考えると、4Kテレビの画像に感じるショボさに合点がいくではないか。
( 16倍であるはずの8Kテレビが4Kテレビと大差ないのはちょっと理由が解らないけど・・・ )
そもそも、4K自体を「フルハイビジョンの4倍の高精細映像」、だの、「4K、8K別世界」だのと、表示デバイスにそれだけの力量が無いのにスペック上の数値を取り上げて大々的に宣伝してしまったものだから、実際の映像を見て「なんだ、この程度か」、となったのだ。
宣伝文句をフルハイビジョンを超える高精細映像、くらいで止めておいてくれたら、私達もここまで落胆せずに受け入れられたのではないだろうか?
そう考えると、4Kテレビを2Kテレビの4倍の高精細と強調した人物の罪は重いと思うのだが。